君への処方箋
この記事は、藤沢で悔しがっている男、彼だけに捧げる・・・
昨夜時計の針の全てが、真上に向かって重なる頃
ささやかなパーティーは始まった。
深夜の口火を切ったのは、チェ・ゲバラと呼ばれる男。
そう、先日少しだけ君と逢ったそうだね。
彼がまず最初にカットしたのは、ラモン・アロネス・スモールクラブ・コロナス。
僕が初めて現物を見たビトラである。
チェ・ゲバラはマイルドな口当たりの、挽きたて珈琲を合わせる。
[ 参考写真 ]
次に葉巻をカットしたのは、まだ見ぬ君に逢いたがっている男。
白衣の運び屋。
咥えてきたパルタガス・ショーツを燻らし終え、次に彼が選んだ1本は
彼の身体に刻み込まれた、二度と忘れられない思い出の1本。
ロメオ・イ・フリエタのリミターダ、エスクドス。
先日の会話の中ででた、サッカー界の「神」とも呼べる彼が
嗜んでいたであろうハバナ。
サッカー好きな君を、意識してのチョイスでもある。
寒空の中をやってきた彼は、まず温めたウイルキンソンのジンジャーエールを。
先日、浦安のシガー・バーに立ち寄ったという君の師匠は
僕に気を使ってくれ、僕が定時に仕事が終われるよう、昨夜燻らしたのは1本だけ。
紫煙を1本分だけでお帰りになったのは、初めての夜。
つい先日、チェ・ゲバラの映画を観たという彼が
チェ・ゲバラのように紫煙を燻らした。
彼はピュリニー・モンラッシェ村でつくられた、17年物のフィーヌを合わせる。
閉店後、独りでテイスティングしてみたが、悪くない。
豊かな香りが魅惑的な、フランス産の稀な地酒である。
僕は先日頂いたマニラ・シガー、ドンファン・ウルキホを。
こちらは初めて燻らす紫煙。
君が当店で初めて燻らしたのは、太くて長いラモン・アロネスのジガンデス。
まだ22歳という若さの君なのに、違和感なく似合っていた。
皆と紫煙を楽しみながら、それぞれのグラスに同じ液体を注ぐ。
きらきら輝く琥珀色をし、少し粘着性をもった液体を。
心の中で呟く。
Salud !! 。
今夜はドイツ・ラインヘッセン地区のワイン、ウーデンハイマー・ゾンネンベルク
クラスはベーレンアウスレーゼ。
甘みと酸味のバランスに優れ、品も良く、僕のマニラにはZum Wohl 。
最初にラモンを燻らした彼は、続いて大のお気に入りのトリニダッド。
今夜はレジエスを選んだ。
彼に逢う度に、彼へ与えたキャンパスの表情が変わってゆく。
皆が、このキャンパスを真似るかのように。
いつ見ても美しい、彼らしいキャンパスの使い方。
学生時代のチェ・ゲバラは灰皿の中に、どんな画を描いていたのだろう。
僕のマニラも、そろそろフィニッシュ。
ハバナと違う、白く柔らかい灰の塊が、いくつか転がる。
君との出逢いを楽しみにしていた男達。
今回も君と語ることはお預け。
なかなかココで燻らすことのできない、伝説となりそうな君。
君の話題は、ここでも尽きないのに・・・
彼等の気持ちが君に伝わり、少しでも君の身体が楽になれたら。
早く体調を復活させてください。
僕も心から、君との再会を楽しみにしています。
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