キューバ生まれの、キューバ育ち

RINGOKAN

2008年12月30日 20:00










1492年

今から約500年ほど昔、クリストファー・コロンブスと彼の部下等は

黄金の国「ジパング(日本)」をめざして船を出した。

困難な航海の末に、彼等が辿り着いたのは、思いもよらぬ未知の大陸

アメリカ(バハマ諸島の一つ、サンサルバドル島)だった。



続く航海で彼等は、キューバ島の先住民タイノ族に遭遇。

コロンブスはタイノ族が葉を筒状に巻き、煙を楽しんでいる光景を目にする。

タイノ族はそれを「コイーバ」と呼び、それが西洋人等が初めて

僕等に出逢った瞬間だった。












ボクは、キューバ生まれのキューバ育ち。



ボク達キューバ葉巻の原料となるタバコ葉は、キューバのブエルタ・アバホなどの

土壌・気候に恵まれた、ごく狭い地域から1枚1枚丁寧に時間をかけられながら

育てられ、そして熟成・製品へと成長してゆきます。



何年もの時間をかけられて育った、ボク達葉巻の原料であるタバコの葉は

茎についた場所によりランク分けをされ、傷も無く色艶が良い上等な葉だけが

人々の生活を豊かにし、少しの時間を楽しませることのできる

香り豊かな葉巻へと、ボク達は変化してゆくのです。











ボク達葉巻は、世界中の紳士・淑女達に選ばれ、彼等がボク達を手にしてくれた

瞬間から、ボク達葉巻が生まれてきた意味を知ることができるのです。











キューバで芽を出し、毎日土を耕してもらい、太陽の光さえも調節してもらい

ボク達の栄養源である水をバランスよく撒いてもらう。

そうして大きく育ったボク達が、次に職人達の手に渡り

1本1本愛情を込めてもらいながら、素敵な葉巻となるよう巻いてもらいます。











2008年

1492年以前から行われてきた、この儀式からボク達は「紫煙」という

魔法に似た煙を、ゆっくりゆっくりと立ち上らせ、ときには神々への贈り物として

ときには人生最大の喜びを、更に味わうかの如く

西インド諸島に浮かぶ島々の伝統魔法で、今日まで人々を魅了させてきました。











ボク達が灰になり、紳士・淑女等が最後灰皿にボク達を置いたとき

ボク達は、ボク達の役目を静かに終えます。



それはボク達の「死」を意味するのではなく、ボク達を燻らすことによって

何かを感じた人々だけに、意識の中に生まれる「新たな生命」を授けるのです。











1492年

クリストファー・コロンブスが新大陸と出逢ったとき

彼は同時にある「魔法」も発見した。



科学物質を含まない紫煙に包まれる喜び、立ち上る紫煙を眺めるくつろぎ

紫煙を介して出逢う人々とのつながり、そして愛好者のみに許された

人々が時間と手間をかけ作り上げた「魔法」を味わい、そして灰にする楽しみ・・・





あと1日ほどで2009年を迎える今、「魔法」に出逢えたことに感謝したい。













クリストファー・コロンブス。

艶やかに育てられた鮮やか過ぎるほどのタバコ葉達。

そして2008年。



アディオス・アミーゴ。











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