大黒柱。
先日嗜んだラッパーが黒光りする、アシュトン・マデュロを気に入った彼
昨夜もそれを燻らせにいらした。
彼はある会社を経営している。
しかし、呑気に暮らす富裕層ではない。
彼には妻と子供、そして、介護が必要な父親と
その家族をも養う社員を抱えている。
ときどき彼が紫煙を吐き出しながら言う。
「いやぁ、いろいろ大変だよ。」
もちろんこの不況と言われるこの時代、大変なのは彼だけではない。
皆が大なり小なり不安を抱えているのだ。
彼が続ける。
「でも、ここにきてこうしている時間が、貴重なんだよね。」
彼の口調はいつも優しい。
残念ながらこの日彼が手にしたのはドミニカ産のアシュトンではない。
僕のミス、在庫切れ・・・
昨夜彼が手にしたのはダヴィドフ2000。
アシュトンと同じドミニカ産の名品である。
先日アメリカから戻ってきた、僕の友人からの頂き物である。
彼は会社を経営する社長であるにもかかわらず、週に数回朝4時に起床し
知人の会社に手伝いをしに行く。
ある日など、午前3時まで僕と語った後でも、その時間にはそこへ向かう。
なぜそのようなことをするのか?
僕は聞かない。
聞く必要などない。
自分の父親の世話を自ら率先し介護をする。
「彼は当たり前のことだから。」 と、ひと言。
会社で自分の仕事をこなし、自宅に戻れば可愛い子供たちの世話をする。
休みの日は地域の活動、そして早朝からの手伝い・・・
彼と話をしていると、いつも「大黒柱」という言葉が頭に浮かぶ。
まだまだ僕には似合わない言葉。
僕の同級生でもある彼が、ダヴィドフ2000を楽しんでいる途中
彼の葉巻の師匠でもあり、人生の師匠でもある友人が来店。
ラモンアロネス・スペシャル・セレクトを燻らせながらやってきた師匠
しばし師匠と語った後、ダヴィドフ2000が灰になった。
彼はこの日、初めて2本目のシガーに火を点した。
理由など聞かない。
その理由などシンプルすぎる。
2本目にチョイスしたのはモンテクリスト・ペティ・エドムンド。
2本のハバナが僕の鼻をくすぐった。
このハバナが消える頃、二人は仲好く当店を後にした。
師匠が2本目に火を点したのは、最近の定番ララニャガのペティ・コロナ。
彼はそれを咥えながら、雨に濡れたビーチクルーザーにまたがった。
「大黒柱」の彼が葉巻に合わせたのは、深炒り珈琲を3杯。
彼は愛車のドアを開けた。
今夜は静岡で会合があるという彼。
また息抜きに、深夜のBAR の扉を開けに来て下さい。
僕はいつでもお待ちしていますから。
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