GUAPO !!
白と黒色のボール遊びが大好きだった少年は、独りでスペインに渡った。
それは彼がまだ二十歳の頃の話し・・・
シガー・カッターをカウンターに置く彼は、必ず次にマッチ箱を手に取る。
ライターではない。
これこそ彼のこだわり。
ポル・ララニャガのペティ・コロナを非常に綺麗な灰にした後
2本目の紫煙を満喫する。
その左手に優しく握られたのは、ロブスト。
リングゲージが50、ウッディーなパルタガスの " セリー D " No.4。
やや深入りに入れた珈琲とのマリアージュ。
彼は遠い地スペインで葉巻と出逢った。
そして紫煙を全身で感じながら、彼がゆっくりと自分の過去を語る。
この日彼が持参した葉巻は、いくつかのハバナ産。
TPO に合わせそのときのベスト・チョイスを楽しむ。
なかなか素人にはできない技でもある。
モンテクリスト No.2
パルタガス・セリーD
コイーバ・ヘニオス
コイーバ・シグロ IV
パルタガス・ショーツ
トリニダッド・レイエス
愛用のカッターは坪田パールのトリプルブレード・サダジウム。
男が持つ " こだわり " にはキリがないものだと、痛感させられる。
この日の深夜には彼と僕、そして閑古鳥しかいない静かな時間が続く。
これは偶然なのではない、きっと必然的な出逢いなのだろう。
僕の右手には先ほど彼から頂いた、トリニダッド・レイエスから
紫煙が立ち上っている。
彼のセリーD から紫煙が立ち上らなくなるまで
カウンターの中で僕は、彼のお話に聞き入ってしまった。
午前3時。
独りになった僕は、一度消えたトリニダッド・レイエスに再び火を点す。
凄い男との出逢い。
心地よい刺激の塊。
すぐさま眠りにつけない興奮・・・
少し小さくカットしすぎた吸い口の為か、今夜の葉巻はドローがきつい。
でも僕はもう一度シガー・カッターに手を伸ばすことはしなかった。
全て経験。
全てが出逢い。
まさに " GUAPO !! " な彼と語った数時間。
全ての出逢いに感謝である。
スペイン語で " 美しい " " カッコいい " などの意味をもつ GUAPO。
後輩を尊敬できる素直な心。
もちろん純粋無垢な男などと言わない。
そんなに甘い世の中ではないから。
数時間彼と語り僕は想う。
また彼から多くのものをこっそり盗み、自分のものにしてみたい・・・
niceguy
ご来店ありがとうございました。
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