「446」
彼と出逢ったのは今年の初め。
大阪からやってきた彼は、笑っていても鋭さが目の奥に秘めた男。
まだまだ若いのに、なかなか芯のあるイカした男だった。
「お久しぶりです。」
そう言いながらドアを開けたのは、久しぶりに逢う彼。
彼は約束通り、ここのドアを再び開けてくれた。
バンクーバーでも暮らしていた彼が、この夜燻らせたのは
ロメオ・イ・フリエタ・セドロス・デラックスNo.3。
彼はカナダで出逢った " ボス " とともに、紫煙を燻らせた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
彼らが帰り静まり返った店内で、僕はどうしても
あるウイスキーを飲りたくなった。
「リンクウッド」
これも思い出深いウイスキーのひとつである。
彼と出逢ったあの夜、仕事を終えた僕がいただいたのが
このウイスキーだった。
僕はそんなつまらないコトを想い出しながら
ヒュミドールを開け、パネテラをカットし
数十分間だけ紫煙を " つまみ " に、ウイスキーをそのまま煽る。
眠ってしまえばよい時間なのに、なかなか眠れずに
一人の時間を独りで堪能する。
そこにあるのは、友人となる男との出逢いである縁と
フットから立ち昇る煙だけ。
「きっと、この出逢いも必然なのだろうな」
そんなコトが頭の中をよぎるなか、僕はやっと深い眠りにつく。
446、また逢おうな。
関連記事