Bar Le Rentier
彼と出逢ったのは、約20年ほど前。
いま想えば、彼はその頃から少し大人びたダンディズムを
身につけていたのかもしれない・・・
浜松の空が青からオレンジ、そして漆黒の闇に包まれる頃
僕はここへやってきた。
日中の春を感じさせる温かさとは違い、この時間はかなり冷え込む。
僕が羽織るコートの襟も、自然と立つ。
新しい灯りに照らされた、開発が進むアクト・シティーの北側。
浜松名鉄ホテルのすぐ北側に、ここBar Le Rentier はある。
ここは、以前名鉄ホテルのMember's Bar にいたキャプテンの
鈴木克明氏がかまえる、素敵な時間を醸し出す城である。
十数段の階段を上がると左手に、小ぶりではあるものの
目印の素敵な看板が見える。
大きく、そして、心地よい重さのある扉を開けると
カウンター中央に、彼は笑顔で立っていた。
僕はいつも通りジン&トニックをオーダー。
持参したモンテクリストのNo.4 を、コートのポケットから取り出す。
鈴木氏に出していただいた、フランス・バカラ社製のシガー・アッシュトレーは
僕の友人である浜松市の有名Bar 、BAR KATSUKI のオーナー
勝木康隆氏と二人で、ここBar Le Rentier がオープンしたときに
プレゼントさせて頂いた、僕の想い出の一品である。
一杯目のジン&トニックが終わる頃、中盤にさしかかったモンテクリストに
何を合わせようか楽しみながら思案する。
そして僕が選んだのは、2008年度ワールド・ウイスキー・アワードで
最優秀賞「ワールド・ベスト・シングルモルトウイスキー」に選ばれた
シングルモルト余市1987年。
生産本数は限定の1350本だけ、これは一度飲んでみたかった。
現在高値が付き高いショップでは、販売価格が¥50000程する代物。
それは、世界一に輝いた国産ウイスキーと、世界一人気のある葉巻
モンテクリスト・No.4 とのマリアージュ。
このウイスキーが熟成された20年、僕が彼と出逢ってからの20年。
この液体には、僕等が出逢ってからと同じだけの、時間が流れている・・・
鈴木氏のダンディズムを感じる空間。
ココで燻らせたモンテクリストのNo.4 、それに合わせた余市1987年。
僕にとって今までにない、至福の時間となりました。
浜松市にある数々の素敵な空間。
あらためて浜松市民の皆様を、羨ましいと想った夜。
素敵な時間をありがとうございました。
Bar Le Rentier
浜松市中区板屋町651 吉田ビル2F
053-450-5882
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